登山届・登山計画書について
有名な百名山はもちろん、マイナーな山や高原や草原の入口付近でも見かける小さなポスト。
野鳥のお家のようにも見えてしまうポストですが、実際は「入山届」(登山届)を入れるための保管箱。
では登山届(入山届)っていったい何でしょう?
出さなければいけないもの?
ではでは本題へ。
このページのお話
山岳県では提出義務がある
遭難しなければ連絡は来ない
遭難しなければ下山報告不要
提出後に登山をしなくてもOK
登山届の提出義務化について
このページは2017年7月頃にリニューアルしています。
リニューアル以前の登山届に関するページの時は、その時点で「登山計画書の提出の義務」を条例化している都道府県はありませんでしたので、「任意です」という情報を掲載していました。
…が、近年、長野県や岐阜県などで条例が制定され、義務化された地域もあります。
登山届が必要な自治体例
★長野県【※長野県HP 】
★岐阜県【※岐阜県HP 】
★富山県【※富山県警HP 】
★群馬県【※群馬県警HP 】
条例は各都道府県単位で制定できる法律のため、…このページで書かれていない都道府県の条例が新しく制定されている場合もあります。
このページでは新しい都道府県が追加された時に「載っていない=義務はないんだ」と誤った情報になってしまうため、積極的に「登山届が必要な自治体」の追加更新はしません。
地域や山域によっては、無届の登山は罰則があるので、やるべきことはやるようにして登山へ行きましょう。
さて、登山届ですが、通常の山であればたいてい登山口の近くに登山届の提出ボックスがあります。
登山届は遭難時の救出用資料
ある時は鳥の巣、ある時は郵便ポスト、ある時は選挙の投票箱のような「登山届の提出箱」。絵葉書や郵便物を入れても届きません。
…むしろ、お巡りさんに届くのでいたずら厳禁。
「登山届」の書き方
履歴書と同じように、本来は決まった「様式」は無いのですが、そうなると何を書いたらいいのかわからなくなるので、登山口前に用紙が備え付けてあったりします。
また、県や警察のウェブサイトに登山届のテンプレートがダウンロードできるので、その項目を埋めていけば登山届が出来上がり。
決まった様式が無いので、「書き方」をマニュアル的に解説することもできませんが、その代わりに「使われ方」を考えてみることで、どんな情報を届け出る必要があるのかがわかるはず。
登山届の「そもそも」について簡単に考えてみましょう。
「登山届」が使われる時は?
登山届は「この登山計画であれば入山を許そう」…といった、許可申請ではなく、届出の書類。
活用される時は「難に遭った時」。つまり、遭難事案が発生した時に、登山届で入山者(要救助者)の人数や年齢、性別、食料、ルート、時間帯などを把握し、行方不明者の捜索や人命救助に使われるものです。
入山から何時間経っているか、その計画から考えれば今どのあたりまで進んでいるか(その手前までにいる)、もしかすると無事に下山して家にいるかもしれない(=家の電話や住所などの情報も無いと困る)、…そんな感じで、救助側の意図を考えれば、どんな内容を届け出たらいいかわかってくるでしょう。
登山計画書(登山届)を出してから「行かなかった・登らなかった」としても、あなた自身は遭難していませんし、山で何かが予約されているわけではないので提出後に山に行かなくても全然構いません。
そういった意味でも下山後に下山する報告も(誰も遭難していないので)不要です。
ただ、当日、性別と年齢が同じような人の身元不明の仏さんが発見された時には、死亡推定時間以前に登山計画を出していた人々に安否確認の連絡がいくでしょう。
失踪・家出・行方不明の捜索用ではない
登山届は届出をしてあっても、通常の行方不明者の捜索願とは連動していません。
街で誰かが行方不明になるたびに警察や自治体が全国の山の入山届を調べることはありません。
家族が「山に行く」ことを知っていて、帰ってこない時は、登山届を基に山が捜索されます。
つまり、家族が知らないと「捜索」は始まらないので、身寄りのある人は黙って登山をせずに「登ってくるね~」と告げた上で、登山届を提出しましょう。
ちょっと一息おさらいまとめ
登山届は有事の際の捜索資料
何事も無ければ何も無し
下山しても下山報告は不要
家族に登山の事実を告げておく
提出後、気が変わって登山に行かなくてもOK。
(遭難してないので関係なし)