カメラ散歩&自然散策のための一脚の使い方・選び方
旅行で最強の機動力を誇るのは三脚ではなく「一脚」なのです。
【写真:スリックの自由雲台を取り付けたベルボンの一脚。三脚より数多くの現場を回れる自然散策向け機材】
行動派のあなたと相性のいいのは一脚だったりする。
登山やハイキングの移動手段はもちろん「徒歩」です。山小屋に泊まるヘビーなハイカーも、街を抜け出し風を受けて走り続けてきたツーリングライダーも、バスツアーで下車した一人旅のハイキング参加者も、全ての持ち物を背負って自然の中を歩きます。直立不動で電車内で立ち続けるだけの「通勤」でもなければ、スタッフが迷子や落し物の対応をしてくれるレジャー施設でもない「自然散策エリア」ですので、手荷物は「少数精鋭」を心掛けたいところです。
前ページまでは「三脚+パン棒雲台+クイックシュー」の撮影用品を解説しました。
このページは「三脚」ではなく「一脚」という自立することのない一本脚の撮影補助用具の解説です。
一脚は「控え選手」のような感じに思う人がいるかもしれないけど、森歩きの場合、逆に主力選手になりえちゃいます。私たちのような森林浴を兼ねた散策者は一日中一か所に居たら一日がもったいないので三脚より一脚のチョイスの方が適しているんです。出来る限りクリアな写真を撮りつつ、どんどん歩きたい人の秘密兵器が一脚なのです。 【★ミラーレスの写真用品なんかない?:ベルボンの一脚】 |
「三脚」より自立しない「一脚」の方が使える野外の機動撮影
旅先の全てを写真に収めたい人が使う「一脚」のあれこれ
【写真:一見「三脚」よりマニアックに見える「一脚」ですが、登山や自然散策で「三脚」を取り出す機会は多くない】 |
「三脚ほど場所を取らない一脚」は、通常(初心者向けには)「サブアイテム」扱いの場合が多いかもしれません。販売者側が「カメラ=子供の運動会」というような「活用事例」で撮影用品の販売を考えると「一脚」も「三脚を立てられない場所(子供の運動会)で使えるため」の情報(イメージ)になりがち。
ですが、「一脚」は、ご近所の一か所の撮影のために買うのではなく、「遠方」の「自然散策」に向いた撮影携帯アイテムなのです。
「一脚」の製造・販売メーカーで有名な会社は「スリック(SLIK)」と「ベルボン(Velbon)」がメジャーで、共に日本の会社です。
スリック : SLIK 一脚
ベルボン : Velbon 一脚
一脚とは、カメラの手ブレを一本足の棒で地面と接地することでブレを抑え込む撮影用品で、英語では「MONOPOD(モノポッド)」。
登山や広域ハイキングとカメラの写真撮影の組み合わせによる「一脚」のポジションは「あると便利」ではなく、「三脚より使える」撮影用品です。それでは一脚についての解説をしていこう。
【背景が暗いヤマユリ写真。この一枚のために三脚を出す?】 | 【登山道で三脚立てて何を撮りたい?山頂着かないよ・・・】 |
時間、有限。-CASE OF 三脚-
一脚を考えてみる解説~三脚の場合~
イメージしてみましょう。
三脚を持って山歩き、あるいは滝や花見や紅葉を楽しめる自然観光地を開始しましょう。現場にはお昼前に到着です。車やバス、バイクから降車し、折りたたまれた三脚は背負ったままトイレを済ませてさっそく散策を始め、写真を撮りながら歩くでしょう。散策開始直後ですが、お昼時になり、早くもお昼休憩です。
リュックに入った三脚はいつ取り出すのでしょうか???
【☆彡散策系の撮影用品として優秀なのは三脚より一脚☆彡】
【使うつもりで買った三脚たち】 | 【日影でブレやすい紅葉の森】 |
手持ち撮影で景色の良い部分はすでに写しているのですが、「ここぞ」という構図がひらめき、ようやく背負っていた「三脚」を取り出します。
背負っていたリュックを降ろしてご丁寧に包まれている三脚用の携帯袋のチャックを降ろし、クイックシューのシューをカメラに取り付け、三本の脚を伸ばしてそれぞれロックをかけ・・・
写真は一つの被写体に対して「様々な撮り方」をすることができます。流れ落ちる滝の撮影も迫力を出すために下から煽るように捉えたり、真横からしぶきを捉えたり、吸い込まれる滝の落ちる地点から下に向けて撮る構図に気が付いたり、ただ単に正面から全体が入り込んだ同じような構図の写真を数十枚「綺麗に」撮ってもあまり意味がありません。
【重いガッシリ三脚の総重量は1.8kg】 | 【夕方暗くなった森の中で写真スポットに到着】 |
山や森には無数の草花が咲き乱れ、雪渓やたぬきや鹿などの野生動物が住み、時間と共に天候も変化していきます。
三脚を使って森を歩くあなたは一か所の一枚の撮影にあまり多くの時間を割いていられないでしょう。
■ ちょっと気になるAmazonベーシックの三脚
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・・・それでは今度は「一脚」を持ってきて使用している場合の事をイメージしてみましょう。
「一脚」を使う場面のイメージ -CASE OF 一脚-
地面に設置してある「フェンス」にカメラを載せて撮る事と同じ「一脚」撮影
【☆彡平坦ではない山や森の道は被写体の宝庫☆彡】
【登山でもハイキングでもある「山道」】 | 【山や森の被写体は突然現れる】 |
夏の期間なら日中35度を超える街を離れ、涼しげな山道を歩き出します。都会では「肖像権」や「プライバシー」で子供たちが遊んでいる近所の公園でさえ「カメラ」を持っていると犯罪者のような目で見られるご時世。女子高生は少し風が吹けばすぐに下着がめくれて見える短いスカート生足で自転車にまたがり、OLさんの胸元は下着まで見えるほどわざわざ胸元が開いたお洋服を自分で選んで着ています。
男性であれば(スマホを含めた)カメラを持っているだ けで「警戒」と「不審」の目で観られ、「加害者」と「被害者」の構図は変わりません。(男性は気を遣ってます。)
高価で高画質のカメラ、どこなら持ち歩いて良いのでしょうか???
夏の海でも(水着の女性がいるため)アウトですよね。
数万円のカメラの活躍の場は「山歩き」。
キノコや野イチゴも照れながらも写真を撮らせてくれるモデルさん。
【登山道に咲いていた小さなお花】 | 【岩肌が黒い岩壁の滝もブレやすい】 |
登山系のトレッキング。高画質で風景を切り取ることができる「機材」で、澄んだ空気の世界を撮らないのは宝の持ち腐れ。足場に注意し、残りの体力配分をしながらできる限り失敗(ブレ)のない写真を数多く撮影したいものです。夜になる前に下山をしなければいけない山歩きで、休憩のたびに三脚を出していると体力や集中力の低下につながってしまうでしょう。
一眼レフやミラーレスはゴツゴツ岩の「山」だけで活躍するカメラではありません。渓谷や川、湖や池・・・観光地や旅の間に三脚を出し入れしている時間はそれほど多くならない事に気が付くでしょう。多くの被写体が存在する場面において、重要なのは「機動力」です。
【夜明けの鳥海山は絞ってパンフォーカスで】 | 【三脚セットしてる間に逃げますよ~】 |
実は上の写真たちは全部手ぶれ補正だけの「手持ち」撮影で、一脚は使用していません。画像は縮小しているためわかりませんが、よく見ると実は若干ブレていてぼやけた(ほんの少し「眠たい」)写真なのです。呼吸を止め、絞りを調整してできるだけシャッター速度を高めたり、夕暮れ近い時間にはISO感度を上げて対応しているのですが、それでも高画素化した高性能デジタルカメラの手持ち撮影では「ブレ」まで再現する画質であるため、画像の全体像をぼやっとさせて画質の精度を相殺してしまいます。 (そのため購入に至りました)
■ 森・山へ行く時の最適機動装備 一脚
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一脚がない状態で撮影した機会(旅)の全ての時間と労力が勿体無いと感じるようになりました。「たかが写真」という人、一度、スマホを含めた「写真カメラ」を家に置いたまま旅行してみましょう。現場に行ったのにも関わらず、景色を写さない(残らない)旅行を繰り返すのはなんだか寂しいですよね。ましてやミラーレスや高画質一眼レフ、レンズ交換までできる高級機を持っているのに・・・。「一脚 」は携帯性と機動性に優れた画質向上のための撮影補助アイテムです。
「一脚」と「自由雲台」の使い方・選ぶ時の注意点
一脚は機能的に「自由雲台」で使います。
【写真:スリックの自由雲台のSBH-100DQ Nと、ベルボンの一脚のウルトラスティックM40。】 |
さて、ようやく「一脚」そのものの解説です。
一脚は一本の棒で、カメラをホールドする「雲台」部分は基本的に「自由雲台」(じゆううんだい)です。
棒(一脚)自体を自分の手や身体で支えて角度が動くため、「パン棒」の「三脚雲台」は意味がなく、アタマ(カメラ)がフリーに動く「自由雲台」が使われます。
【ベルボンの一脚の脚「ウルトラスティックM40」とスリックの自由雲台「SBH-100DQ」を組み合わせた一脚】
【ベルボン「ウルトラスティックM40」は脚のみの一脚】 | 【ベルボン「ウルトラスティックM40」の雲台取付部分】 |
【スリックの自由雲台SBH-100DQを組み合わせる】 | 【自由雲台はスリックのMINI-PRO DQのものを移植したもの】 |
一脚も三脚と同じように価格によって「雲台」が「分離・付け替えができるもの」と、「雲台が取り外せない一体型」のものがあります。
スリックやベルボンなど、「三脚」や「一脚」で有名なメーカーは普及率も高いため、「分離」の販売戦略が立てられますが、それ以外のメー カーはバラで商品を用意してももう「太刀打ち」することができないため、「それなりのパーツで作られた安い価格の一体型」しか勝負できません。
ベルボンもスリックも「雲台」と「脚」、「クイックシュー」を備えた一脚を販売していますが、その場合は「一体型」ではなく、「分離可能なパーツの組み合わせ販売」ですので、他メーカーの高さのある安い一脚と「違う見方」で選択肢を絞っていく事をお勧めします。
【手で支える「一脚」は「単独固定」運用しないので重量超過でも構わない】
【スリックの自由雲台のSBH-100DQ】 | 【小さいクイックシュー付きの自由雲台です】 |
写真の一脚はベルボンの一脚「ウルトラスティックM40」と、スリックのテーブル三脚「MINI-PRO DQ」に採用されていたスリックの自由雲台「SBH-100DQ」を組み合わせて一脚とした一本。もともとそうするつもりで同じ時期に計画して購入しました。
ベルボンのベルボン ウルトラスティック は山旅・バイクツーリング旅・キャンプ旅を全て兼ねる旅の荷物の収納&携帯を考えて選定した「軽量・コンパクトサイズ」の一脚。
目線の高さまでサポートする一脚の高さ(+自由雲台の高さ)を忘れずに選択肢を上げたところ、「全高」は1435mmくらいの高さまででちょうどよいと考えました。
実際、ちょうどよい高さであり、それ以上あってもつま先立ちで背伸びをしなければ一眼レフのファインダーを覗く事はできません。
もちろん、不安定になるので一脚を伸ばして背伸びをして撮影をする事はありません。
ウルトラスティックM40の縮長(畳んだ時のサイズ)は420mm。重量はわずか220g。
リュックに入れる時のサイズもしっかり考慮して「選択」しました。
■ 一脚と組み合わせて使える森歩き撮影機材 自由雲台
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一脚+自由雲台+クイックシューはベターな野外撮影装備
一脚を使っただけでブレ写真率は大幅に減少する
【写真:スリックの自由雲台付テーブルミニ三脚。ちっちゃいのにしっかりホールドしてくれます】 |
カメラの向きは手持ち感覚で自由に動かすことができ、撮影時は地面からしっかり支えられる「一脚」と「自由雲台」の組み合わせ。
「自由雲台」自体は「球」状の支点でグルグルと首を動かすことができるメカニズムを持った「雲台」のことで、自由雲台の中でも「ネジだけ付いているもの」と「クイックシュータイプのもの」があります。
【雲台にカメラを簡単に着脱することができる「クイックシュー」(自由雲台)】
【一眼レフのミニ三脚 SLIK MINI-PRO DQ】 | 【一体型じゃない三脚は雲台の取り外し&移植できる】 |
「SBH-100DQ」は「クイックシュー付の自由雲台」。
コルク柄の「シュー」の部分の「コルクのサイズを測ってみると30mm×24mm」で自由雲台全体の重さは「130g」。
自由雲台の「SBH-100 DQ」の系統はメーカーの最大搭載荷重が1.5kgで、18-200mmのズームレンズを付けたD5100やD80の一眼レフの重量も固定できるクイックシュー付の雲台。
(自立固定用途の雲台として)三脚で使う予定はありませんが、最低限の固定能力は持ち合わせていました。テーブル三脚も旅先で活用できそうですね。
【自由雲台 SLIK SBH-100 DQをグリグリ動かしたところ】 | 【クイックシュー搭載の自由雲台です】 |
自由雲台を一脚で使う際には固定レバーを締めあげて固定せずに、若干ホールドしてくれる程度にして一脚がブラブラする(フリーに動く)状態でカメラを構えて使用します。
一本足の一脚ではカメラから手を離して使う事はありませんので、がっちり締め付けてアングルを固定する「三脚」とは雲台の使い方が異なります。
そのため、固定してアングルを決める使い方を想定していない一脚用の装備として考えるのであれば、それほど大きな雲台(クイックシュー)はオーバースペックになる上、「重量が増す」結果となりますので予算と相談しながら上手な買い物をしましょう。
【スリックの自由雲台SBH-100DQを組み合わせる】 | 【自由雲台はスリックのMINI-PRO DQのものを移植したもの】 |
「対山歩き撮影装備」として「軽量化の為の重量バランス」を考慮した上でそれ以上大きなクイックシューは選択肢から削り落としました。
「ガッシリ」が必要なのは「三脚」であって、機動装備用の「一脚」の自由雲台にはアタマの重いクイックシューや雲台をあえて選ばない方が正解です。用途を理解して道具を揃えていくことをお勧めします。
■ ちょっと気になるAmazonベーシックの三脚
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一脚は目の高さまで高くなるものにした方が良いです。モノ自体はそれほど高くはないのだけど、それは自由雲台を持っているかどうかで出費額がちょっと違います。今まで一体型の軽量旅行用三脚ばかり買ってきてしまった人は雲台の分離ができないので使い回しもできず、追加で一脚を買う発想に至らいかもしれまぜんが、自由雲台と一脚の組み合わせは山歩きや森の風景写真の撮影にかなり有効な装備なのです。 【★一眼レフの写真用品なんかない?:スリックの一脚】 |
第三章 風景写真撮影+撮影機材 初心者ガイドの目次
エントリークラス(初心者クラス)の一眼レフやミラーレスでそこそこ綺麗な風景写真を残していこう。
下のリストから見たい項目をチェックして自由に必要な事を考えていってください。
風景写真撮影をサポートする機材解説
0:風景写真撮影+機材 ガイド目次 | |
1:登山・森向けプロテクトフィルター | 5:スタンダード三脚の選び方のポイント |
2:登山・湿原向け高透過サーキュラーPL | 6:クイックシューの使い方と種類 |
3:クローズアップレンズフィルターの効果 | 7:三脚の高さと旅行用三脚の注意点 |
4:NDフィルターの効果と使い方 | 8:旅の最適撮影装備「一脚+自由雲台」 |
一眼レフ・ミラーレス一眼の撮影知識
1:ボディとレンズ解説 | 5:ズームと広角の画角の違い |
2:絞りを変えてボカす&クッキリ撮る | 6:現場で判断&調整するISO感度 |
3:ピントとボケの範囲解説 | 7:リレーズとリモコンシャッター |
4:写真の明暗とシャッタースピード |
自然地域へ行く時の撮影機材を考える
1:SDカードの基礎知識 | 4:形状別カメラバッグレビュー |
2:バッテリーっていくつ必要? | 5:屋外旅行の充電対策 |
3:屋外でのレンズ交換+レンズフード | 6:山林・森林での被写体探しの現場 |